Vamos a saltar (イン モンテレイ) 

Vamos a saltar(イン モンテレイ) T.OKAWA

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仕事の相棒でチピンケ岩峰にいっしょに登ったことのあるアレックスからマタカネスに行こうとさそわれたのは2週間前のことだった。マタカネスはモンテレイの数少ない観光地の1つコラデカバージョの滝から4WDでラグナサンチェスの村を通り山中を2時間ほどいった渓谷だ。そのぐらいのことしか知らなかったぼくは、ほかのメキシコ人の同僚にどんなところか聴くと、誰もが川の水が澄んでいて美しいところだというが、行ったことがあるのは1人だけで、ほんとうに行くのかといわれた。ぼくは沢歩きをするものと思っていたが、よく聴くと沢を泳いたり歩いたりしながら1日かけて14キロメートルを踏破するようだ。大きな岩の上から水面にジャンプする箇所が20以上あり、危険な場所はロープを使って懸垂降下する。ぼくはこのような沢下りをしたことが無かったが、小学生の頃、川遊びをしていた川ガキだったのでその楽しさはすぐに想像できた。そしてモンテレイの若者のあいだでは結婚前の男の度胸試しの場でもあるようだ。それはまっ暗な洞窟の中でのジャンプや最大11メートルある高さからのジャンプもある。そこをとぶことで勇気のあかしを見せるのだ。これは面白くなりそうだ、30年前の川ガキの血がさわいできた。日本人のアウトドアの実力がどれだけのものかメキシコ人に見せてやろうじゃないか。
こんなことが日本にいる女房に知れたら「あんた、もう年なんだからバカなことはやめてよね」という声が聴こえてきそうだ。

そんなことを胸に早朝4時半にコラデカバージョのホテルに集合、メキシコではままあることだが主催者が来ていない。30分遅れて到着、しかも2台のうちの1台の車が故障したと言い訳をしている。ぼくたちは1台のピックアップトラックになんと15人乗り込み出発した。ぼくは後部座席に座れたが、さすがに山の朝は冷える。荷台に乗っていた女の子2人が前の席に移ってきた。みな緊張しているのか、眠いのか無言がつづく。運転手は窓を全開にして走るので、ぼくは寒くなって思わずくしゃみをした。すると先ほど乗ってきた女の子が サルー といい、ぼくは グラシアス とお礼をいった。それが合図となりメキシコ人同士のいつものおしゃべりが始まり、みなうちとけた雰囲気になった。

川下りの出発地点につくと、すでにガイドが朝食の準備をすすめていた。朝食といってもバナナとチョコレートあとはジュースがつく簡単なものだ。さすがにガイドは屈強な男たちだ。リーダーシップがあり、ユーモアをわすれない。ウェットスーツ、ヘルメットとライフジャケットを身につけ出発、初めの1時間は山登りだ。あたりは放牧された牛の糞がころがっていて懐かしいにおいがする。途中、赤茶色の水たまりがあり、牛のヌタ場になっていて牛の足跡と糞だらけだ。ガイドが最初の ジャンプだ とジョークをとばす、ぼくたちもエッーと笑いながら見本を見せろという。そんな雰囲気のなか水源地に到着した。ここからがほんとうの川下りの始まりだ。水は澄んでいて冷たい、周りは大きな岩がごろごろしている。最初のジャンプは高さ3メートルぐらいでみな緊張している。運転席のとなりにいた女の子がとべない。サルト、サルト といって励ますのだがどうしてもとべない。最後はその大岩を迂回してみなと合流した。次はいきなり高さ30メートル以上ありそうな滝をロープで懸垂降下だ。女の子たちは度胸がある、滝の上の岩に立ってもこわがっていない。それどころか笑顔をみせている。日本では男は度胸、女は愛嬌というが、メキシコでは何っていうのか聴いてみたいところだ。つぎからつぎへとあらわれる難関を全員でクリアしていくあいだに、自然とチームワークが生まれてきた。
最大のジャンプは滝の手前で分かれ道があり11メートルの高さをとびたい人は川の左側へ、とばずに降りながら、見学したい人は右側へ行けばいい。右へいこうが、左へいこうが誰も何も言わない。相棒のアレックスは左を選択、もちろんぼくも左だ。7人が滝の横の岩の上に立った。下を見るとさすがに高い、滝つぼが深緑色をしている。順番にガイドの合図を待ちながら空中に飛び出す。つぎはぼくの番だ、対岸ではガイドと仲間たちが応援してくれているのだが、緊張で何も聴こえない。ガイドの合図をみて空中へジャンプ!
落下はおそらく1秒もかかっていないだろう、おしりに衝撃あったがうまく着水できた。対岸を見るとみながニコニコしながら歓声をあげている。

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この川下りを終えるころにはジャンプすることが楽しくなっていた。空中に踏み出すことが、人生のあらたな1歩を踏み出すように思え、爽快な気持ちでマタカネスをあとにした。

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チワワ太平洋鉄道(Chepe)の旅

チワワ太平洋鉄道(Chepe)の旅                
T.OKAWA

chihuahua

《プロローグ》
仕事を7時に終わり、その足でモンテレイ空港へ直行、9時25分発のチワワ行きへ。上空3千メートルから見るモンテレイの夜景はオレンジ色に輝き、宝石箱を引っくり返したような美しさ。クオリティイン・チワワでChepeの乗車券とホテルクーポンを受け取る。

《銅渓谷》
朝6時にチワワ駅を出発、時間きっかりに出たのでびっくり。ここからデビサデロまでは7時間、ちょうどChepeの中間地点にあたり、今日はここまで。そこはチワワキャニオンの核心部であり、ホテル デビサデロ・バランカスは断崖絶壁の上に建っていた。

ホテルで昼食をとり、夕方のショートハイクにそなえ昼寝。ショートハイクにはチワワの年輩の家族連れ、香港からきた夫婦、初老のドイツ人夫婦と僕とガイドと2匹の犬の多彩な顔ぶれ。そこはタラウマラ族(インディオ)の居住地になっていて彼らの暮らしぶりが垣間見られた。家の前で工芸品を売る少女、その傍らには小さな赤ちゃん、誰かが年齢を聞くと17歳、子供は4ヶ月。そこに彼らの人生を見たような気がした。ホテルに戻りビールそしてディナータイム。カップルはごゆっくり、チェッさっきの家族連れの娘に声をかけておけばよかった。一人者は部屋に戻る。チワワキャニオンの夜は静かに更けていった。

日の出ハイクにドイツ人夫婦と僕とガイドと2匹の犬が参加、朝5時半、断崖絶壁の岩の上を目指して出発、天空には北極星、オリオン、北斗七星が輝いている。流れ星を見たのは何年ぶりかな。1時間かけて断崖の頂へ、チワワキャニオンは5つの渓谷からなりエキスパンドはグランドキャニオンより大きいとガイド。もう東の空は赤く染まっている。雲ひとつ無い晴天、気温は5℃ぐらい、ダウンジャケットを着ていても少し寒い。遥か渓谷の対岸に太陽が昇る。全身に朝陽を浴びて心もからだも緩んでいく。なんて自然は荘厳で美しいのだろう。帰り道、遠くで鶏の鳴き声が聞こえる。タラウマラの親子はまだ寝ているだろうか。ホテルでゆっくり朝食をとる。デイハイクのあと、お昼にデビサデロをあとにする。夜9時半に終着駅のロスモチスに到着。

《エピローグ》
早朝ロスモチスからトポロバンポの港へ。港に居たおっちゃんが野生のイルカが見られるというのでボートを出してもらい湾内をクルージング、途中烏賊漁をする船に挨拶、湾の奥まで行くと数頭のイルカの群れと遭遇、ボートを止めてイルカが現れるのを待つ。突然ボートの横を群れが泳ぎ去っていく。なんてしなやかな泳ぎなのだろう。朝の静かな海でイルカの群れに囲まれている。ここはイルカの領分。なんだか幸せな気分。残された少ない時間をイルカたちと共有していた。港へ戻りさっきの烏賊をつまみにビールを飲んだのは言うまでもない。

これでChepeの旅は終るが、僕のメキシコの旅はつづく


※2007年11月のチワワ太平洋鉄道の旅をブログ用に加筆・訂正

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たびたび小さな旅・シアン・カーン自然保護区

今月号で投稿いただいた、シアン・カーン自然保護区の記事を紹介させていただきます。(クリックすると拡大できます)。充実して読み応えある記事ももちろん、写真にも惹きこまれますね。

シアン・カーン自然保護区はメキシコはカンクンなどのあるユカタン半島東部にあり、1987年に世界遺産登録されたエコ・ツーリズムに最適な、実に美しい場所です。手付かずの自然が広がり、さんご礁やセノーテ(泉)など、豊かな風景をあちこちで楽しむことができます。

Sian Kaan01 Sian Kaan04 Sian Kaan03

※1月14日、写真一部修正して再UPしました。本誌とは若干異なる部分があります。

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